非抜歯による破折歯根の歯冠内接着保存法 ⑬[Non-Extracted Approach for Tooth Fracture ⑬ ]
症例基本データ
患者:
49才 男性
初診:
2019(H31)/2/19
主訴:
右上6の完全破折。抜歯してインプラントと言われているが、抜かずに治療したい。
初診時所見。右上6が割れている。抜かずに治療したい。
(2019/2/19)
右上6の所見。近・遠心方向に完全破折している。
(2019/2/19)
矯正用エラスティックH5を用いて、拡大した破折面を閉鎖する。
(2019/3/9)
破折部の閉鎖を確認。矯正用Metal Bandで破折歯周囲を補強後、根管治療に入る。
(2019/4/20)
患歯(破折歯)は金属製の分割コアーを作製し、歯冠内で組み立て・接着装着する。
(2019/5/25)
歯冠内コアー形成の所見。重要な事は破折線をV字状にCutし接着を強化すること。
(2019/5/25)
分割接着Metal coreを歯冠内で組み立てた所見。
(2019/6/3)
最終補綴物のX-rey所見。抜かずに保存できた。
(2019/6/29)
最終補綴物の1Y後の口腔内所見。「何の違和感もなく普通に食事が出来ます」という。
(2020/6/8)
治療方針
・右上6番歯は頬舌的に大きく割れている難症例。
・初めに矯正用Elasticで破折部分の閉鎖を先行させる。
・次いで矯正用Metal bandで補強した後、通常の根管治療に入る。
・一連の治療の過程を、他の同様な臨床例で説明し、理解を得た。
症例のポイント
・破折歯の割れ目にセメント充填することは、さらに割れ目を拡大させるため、避けるべきである。
・やむなく窩洞を封鎖する時は、応急的にwireにて患歯周囲を結紮し割れ目の拡大を防ぐこと。
・出来るだけ早期にMetal Bandで外周を補強し、根管治療に入る。
・完全破折歯を抜かずに保存できた。患者さんは「何の違和感もなく、普通に食事できています」と、喜んでいただいた。