天然歯接着シェル ④[Clinical application of natural tooth for pontic ④ ]
症例基本データ
患者:
57才 女性
初診:
2018(H30)/5/11
主訴:
⎾1がぐらつく。抜いてインプラントかBridgeと言われているが、他に治療法はありませんか。
初診時所見。6ヶ月前に被せた歯がグラグラするとの主訴。
(2019/4/22)
同部のX-ray所見を示す。左下1番の歯根膜腔は拡大している。
(2018/5/11)
左下1番 歯は舌側の歯根が露出しグラグラする。
(2018/5/14)
咬合面から見ると先端が唇側傾斜している。
(2018/5/14)
左下1番の抜去歯を示す。この後歯根を切断し形態修正し歯肉に適合させる。
(2018/5/22)
下顎前歯抜歯直後の所見。
(2018/5/22)
左下1番の両隣在歯に接着する。同時に舌側よりwire補強。
(2018/5/22)
抜歯・接着後、11ケ月経過後のx-rey所見。抜歯した部位は正常な歯槽骨で満たされている。
(2019/4/22)
抜歯した下顎前歯を再び接着することで元通りのイメージが回復できた。
(2018/10/27)
治療方針
・歯がしみて他院を受診。下顎前歯2本を抜髄してセラミック冠を装着したが、6ヶ月後にグラグラしてきた。
・再度受診するも『抜歯してインプラントかBridgeになる』との診断を受けた後、来院された。
・この様な症例は抜去歯(天然歯又は、補綴歯)を応用することで、両隣在歯を削るBridgeや、インプラントを避けることが出来る。
・他の同様な臨床例で説明し、良く理解していただいた後 治療に入る。
症例のポイント
・抜去歯の歯根を切断し、歯肉に適合させた後、維持の為のグルーブ(溝)を形成しておくこと。
・両隣在歯もwire補強の為のグルーブを形成し接着による維持力を強化する。
・審美的にも抜歯前の所見を再現/維持できている。
・この様に出来るだけ治療範囲を拡げない、削らない治療こそ 本来の『歯を守る歯科医療』と とらえたい。