ぐらつく歯の治療 ③[Clinical application of natural tooth for pontic ③]
症例基本データ
患者:
41才 男性
初診:
2019(R1)/5/21
主訴:
前歯がグラグラする。抜いてインプラントを勧められている。
初診時所見。左上1が1年前よりグラグラする。
(2019/6/4)
左上1は抜いてインプラントを勧められている。
(2019/6/4)
左上1のX線所見。歯根周囲は歯槽骨の吸収が進み支持骨が無い。
(2019/5/21)
昨夜「歯が抜けた」と急患にて来院。来院時所見。
(2019/8/2)
左上1の根尖部不良肉芽を掻爬し、遊離骨片を除去 縫合。
(2019/8/2)
同日、抜けた天然歯を形態修正して、元の位置に復元し接着処置。
(2019/8/2)
天然歯ポンテック(抜けた歯を利用)はMetal Net(TOMY)にて舌側(ウラ側)より補強する。
(2019/8/9)
同部のX-ray所見。初診より7ヶ月後。抜歯窩の歯槽骨は安定。
(2020/3/24)
左上1接着保存後7ヶ月経過。「審美的にも機能的にも日常生活に全く不都合はありません」という。
(2020/3/24)
治療方針
グラグラの前歯の治療希望で来院された。「他院にてインプラントを勧められている」との事であったが、両隣の健全な前歯を削るBridgeやインプラントをすることなく、自分自身の抜けた歯を接着する治療法について他の同様な臨床例を提示して説明し理解を得た。
症例のポイント
・既に多くの臨床例で、抜けた歯を利用する天然歯ポンテックを応用し、長期間の経過観察を経て良好な結果を得ており、今回のケースも実際の臨床例を提示し納得いただいた。
・歯を削らずインプラントもせずに自然観を回復した。
・7ヶ月後「審美的にも機能的にも日常生活に全く不自由はありません」との事。
・歯科医療は『歯を守る事が使命』であり、この症例のように歯を削らず、最小限の治療で最大の効果を得られるよう取り組みたいと思う。