非抜歯による破折歯根の歯冠内接着保存法 ⑤[Non-Extracted Approach for Tooth Fracture ⑤]
症例基本データ
患者:
42才 女性
初診:
2017(H29)/1/17
主訴:
歯根が割れている。右下6番は4ヶ所の歯科を受診し、いずれも抜歯と言われている。抜かずに治したい。
初診所見。右下6に違和感がある。
(2017/1/18)
右下6は金属冠が装着されている。遠心根に歯根破折の所見あり。
(2017/1/18・2017/1/17)
冠撤去時の所見。頬・舌側と遠心壁に破折線が確認できる。
(2017/2/1)
メタルコアーを除去し、根管治療を開始。
(2017/2/27・2017/2/27)
右下6近心根は先行して根管充填。
(2017/3/13・2017/4/3)
遠心根は歯冠内接着法にて破折面を接着保存した。
(2017/4/3・2017/4/3)
provisional Crownにて長期経過観察へ。咀嚼に不自由はない。
(2017/4/19・2017/4/26)
接着後1Y10M。骨植堅固で臨床症状はない。
(2019/2/8)
最終補綴物の口腔内所見。抜かずに保存できた。
(2019/2/8)
治療方針
当院受診前に他院(4医院)にて抜歯と診断されている。先ずはメタルコアーを撤去し破折部を精査し感染根管治療を先行させる。臨床症状が消失後に、非抜歯による歯冠内接着法を応用する。
症例のポイント
歯根の破折は遠心根の頬・舌側壁と遠心壁に及んでいる難症例。慎重に感染根管治療に取り組みprovitional Crで1年10ヶ月の経過を観察し、最終補綴に移行した。(東京より通院)