治療例のご紹介 Remedial  List治療例のご紹介 Remedial  List

非抜歯による破折歯根の歯冠内接着保存法 ④[Non-Extracted Approach for Tooth Fracture ④]

症例基本データ

患者:

53才 男性

初診:

2019(H31)/2/1

主訴:

歯にヒビがあり『抜いてインプラント』と言われている。抜かずに助ける方法はありませんか。


  • 初診時所見。「左下奥歯に違和感がある」という。
    (2019/2/1)

  • 左下7番の口腔内所見。初診日当日に患歯周囲をwire結紮し破折の拡大を防ぐ。
    (2019/2/1)

  • 初診時の左下7番のX-ray所見。歯冠の中央部に破折線が確認できる。
    (2019/2/1)

  • 初診時に患歯周囲をwire結紮した所見を示す。
    (2019/2/1)

  • 破折線が髄床底に及ぶ頬舌的完全破折症例。次回来院時には患歯周囲をMetal Bandで固定し、破折歯外周を補強。
    (2019/2/16)

  • 慎重に根管治療を開始(2019/2/23)。根管充填時のX-ray所見(2019/4/13)。

  • 歯冠内部より接着性Metal coreを装着し、同時に破折部を接着閉鎖する。
    (2019/5/22)

  • 最終補綴物装着後のX-ray所見。根分岐部の透過像は変わらない。
    (2019/6/14)

  • 左下7番の術後所見。抜歯せず、自らの歯で再び咀嚼出来るようになった。
    (2019/6/14)

治療方針

左下7番は歯冠中央部に充填(CR)処置がなされている。同部のX-ray所見にて、歯冠は近・遠心根的に真二つに割れており 破折は髄床底に及んでいる。根尖部に骨の透過像を認め、歯髄変性後の時間の経過がうかがえる。通法により破折部の拡大を防止して根管治療へ移行する。その後、非抜歯による歯冠内接着保存法を応用する。他の臨床例を用いて具体的な治療経過を説明し治療への同意を得た。

症例のポイント

・教科書的には、髄床底に及ぶ完全破折歯は抜歯の適応症とされている。
・しかしながら破折の拡大を防止し、感染根管治療の後 歯冠内より破折部の接着治療に取り組むことで多くの天然歯を抜歯することなく保存治療が可能であり、インプラントを避ける事が出来る。
・再び自らの歯で咀嚼出来る事は、患者さんにとって何よりの喜びとなる。
・遠方にもかかわらず熱心に通院して頂いた。

ページトップへ戻る
ページの先頭へ戻る