深いカリエスから歯髄を守る(無麻酔) ③[Treatment for Severe Dental caries ③]
症例基本データ
患者:
35才 男性
初診:
1999/6/22
主訴:
冷たいものが歯にしみて痛い。
初診時右下6番の口腔内所見。一見して深いカリエスを疑う。
(1999/6/22)
右下6番のX線写真。歯冠全体に及ぶ深いカリエスを認める。従来なら麻酔症例。
(1999/6/22)
無麻酔下でフリーエナメルを除去。粥状の軟化牙質を認める。
(1999/7/9)
シャープな手用エキスカで、無圧的に慎重に軟化牙質を除去。ラウンドバーは使用せず。
(1999/7/9)
MN + New Apatite Liner TypeⅠおよびⅡで2層の覆髄を終えた所見。(術式2-a,b)
(1999/7/9)
歯髄の抗菌的保存療法には3層の緊密な覆髄、仮封を行っている。(術式2-c)
(1999/7/9)
初診より2年後のX線写真。歯髄症状は無く、根尖部の異常所見も認めず。
(2000/5/16)
初診より5年7ヵ月経過後の口腔内所見。健全な天然歯質は可能な限り保存されている。
(2005/2/14)
同 X線写真。臨床症状無く、安定している。
(2005/2/14)
治療方針
歯髄及び健全歯質を保存するための抗菌的う蝕治療。
症例のポイント
初診時は歯髄保護の術式1-aで対応。次回来院時に術式2へ移行した。この際、粥状の軟化牙質を一塊で大きく除去すると露髄する危険性があるので、注意を要する。本症例では、歯髄と共に初診時の健全エナメル質の大部分を保存できた。