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矯正的歯根挺出法 ④[Orthodontic Root Extrusion ④]

症例基本データ

患者:

36才 女性

初診:

2019(H31)/4/13

主訴:

1年前に装着した冠がコアーごと脱離した。『抜歯してインプラント』と診断されているが、他に治療法があれば助けてほしい。


  • 右下7の来院時所見 。1年前に神経をとって装着した冠がコアーごと脱離した。
    (2019/4/13)

  • 抜歯・インプラントの診断を受けるも、セカンドオピニオンで来院。
    (2019/4/13)

  • 歯根周囲の歯肉を切除し 健全歯質を確認する。
    (2019/4/26)

  • 矯正的歯根挺出法の装置を作製。アンカーは5番6番とする。
    (2019/5/11)

  • 挺出前(2019.5.11)と挺出後(2019.6.24)のX-ray所見を示す。
    (2019/5/11・2019/6/24)

  • 挺出後、健全歯質が歯肉縁上に確保されている。ここから補綴治療に進む。
    (2019/7/22)

  • 接着性メタルコアーを装着し歯根破折を予防する。
    (2019/7/22)

  • 最終補綴物を装着。抜かずに自らの歯で健全な歯列が回復した。
    (2019/8/10)

  • 術後のX-ray所見。「咀嚼に何の不自由もありません」との事。
    (2019/8/26)

治療方針

・歯質の崩壊は歯肉縁下に及んでいるものの、X-ray所見にて十分な歯根長を有しており、矯正的歯根挺出法にて保存可能と診断。
・同様な他の臨床例で説明し、抜歯せずに保存の方針を伝え理解を得た。

症例のポイント

・診断のポイントは、X-ray所見での歯根のボリュームにある。
・骨植堅固で 充分な歯根長を有しているこの様な症例では、術後の安定もよく 抜歯は避けるべきだ。
・矯正的歯根挺出には概ね2ヶ月程度の期間が必要となるものの、抜かずに再び自らの歯で咀嚼出来るならば、この治療法の持つ臨床的な意義は大きい。抜歯もインプラントもすることなく、健全歯列を回復できた。

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