破折天然歯の接着・保存の限界
症例基本データ
患者:
46才 男性
初診:
1980/9/16
主訴:
上左右1番の2歯に違和感があると来院したが、両歯は初診時既に無髄歯で、全体的に口腔内環境は悪かった。
初診時の口腔内所見。上左右1番は無髄歯で全体的に口腔環境は悪い。
(1980/9/22)
初診時の上左右1番のX線写真。上右1番の根尖は漏斗状に開大し、左1番は内部吸収が認められる。
(1980/9/16)
上左右1番は垂直加圧根充法で治療した。
(1980/10/9)
初診から7年2ヵ月後、上左1番の歯冠が破折。歯根を抜去し、同日左1番歯冠をポンティックとして接着応用した。
(1988/11/30)
さらに9年後(初診から17年後)右1番も破折した。
(1988/11/30)
患者さんが持参した上左右1番の天然歯。再度この2歯を接着して機能させようと考える。
(1997/9/10)
初診から19年9ヵ月(接着後12年経過)。上左右1番は破折したが、接着・保存することで天然歯が初診時のまま口腔内で機能している。
(2000/6/27)
指導と管理を継続する中で、患者さん自身の素晴らしい自己管理がうかがえる。
(2000/6/27)
初診から21年3ヵ月。患者さんは67歳になられた。少ない支持骨ではあるが、抜歯はできるだけ避けて見守りたい。現在「日常生活に不自由なことは何もない」という。
(2000/6/27)
症例のポイント
・破折した天然歯をポンティックとして接着応用し、補綴的介入を避け、経過を見守ってきた。初診時より20年が経過した。