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非抜歯による破折歯根の歯冠内接着保存法 ⑩[Non-Extracted Approach for Tooth Fracture ⑩]

症例基本データ

患者:

75才 男性

初診:

2018(H30)/12/22

主訴:

奥歯が割れている。他の歯科で『抜歯しかない』と診断を受けているが、出来れば抜きたくないので一度診てほしい。


  • 初診時所見。75歳にして全ての天然歯が健康状態を保っている。
    (2019/2/27)

  • 左上7番歯(第2大臼歯)が完全に破折していた。
    (2018/12/22)

  • 左)左上7の破折歯は初診時にwire固定する。 右)次回来院時にMetal Bandを装着固定し、患歯のこれ以上の破折を防ぐ。
    (2018/12/22・2019/1/11)

  • 根管治療を開始。髄腔を拡大し、根管口を慎重に捜す。BD根(遠心頬側根)は破折線と重なっていた。
    (2019/2/27・2019/2/22)

  • 根管充填(2019/4/10)後、Metal core用の窩洞形成と印象採得。
    (2019/4/10・2019/5/14)

  • 接着Metal core装着直前に窩洞内の破折線をV-cutし、エッチング・プライマー処理後コアー装着と同時に破折部を接着させる。
    (2019/5/14)

  • 接着Metal coreを装着し、破折部を補強した。
    (2019/5/14)

  • 最終補綴物を示す。再びご自身の歯で咀嚼出来るようになった。
    (2019/6/12)

  • 術後4M(2019/10/22)と術後1Year(2020/6/29)のX-ray所見を示す。左上7周囲の歯槽骨は堅固で安定。「毎日の食事に何の問題もありません」と喜んでいただいた。
    (2019/10/22・2020/6/29)

治療方針

左上7は歯冠部が完全に破折している。既に歯髄(歯の神経)は変性(死んだ状態)しており、痛みの訴え(冷・温痛)はない。破折歯をMetal Bandで固定し、通例通り歯内療法(根管治療)を行い、非抜歯による歯冠内接着法での歯の保存を試みる。他の臨床例を提示して、治療経過を説明し了解いただいた。

症例のポイント

・来院初日に患歯をwire固定し、破折の拡大を防ぐこと。
・次いで矯正用のMetal Bandで固定する。
・髄腔を拡大しつつ、破折部を精査。破折線の方向を確認する。
・慎重に根管治療を進め、接着Metal coreを装着する。この際、破折線はV字状にcutして接着力を強化することがポイント。
・完全破折の上顎大臼歯を、非抜歯にて保存を試みた。
・天然歯保存の可能性を示す 臨床例として提示した。

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