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上行性歯髄炎を伴う重症歯周炎の保存の限界

症例基本データ

患者:

46才 女性

初診:

1989/12/15

主訴:

右上1,2番の動揺が激しく、前歯で全く噛めない。過去に何度も切開、排膿を繰り返していたが抜きたくない気持ちが強く、これまで歯科の受診をためらっていたが、抜歯を覚悟で来院された。


  • 初診時の所見 右上1番と2番は排膿を伴う重症の歯周炎で動揺が強く、前歯では全く噛めない。
    (1989/12/15)

  • 同部のX線写真。両歯の骨吸収は根尖部にまで及び、教科書的には抜歯の適応状況。
    (1990/1/12)

  • しかし、動揺の原因を右上3番の舌側傾斜による右上1,2番の側方ガイドによるものと診断し、右上3番の頬側移動を行った。
    (1990/2/5)

  • ミニフラップで根周囲を掻爬した。支持骨がなく、歯肉は大幅に退縮し、歯根は大きく露出した。
    (1990/6/1)

  • 1990年10月15日上行性歯髄炎のため、やむなく右上1,2番を抜髄。歯髄保存の限界か。
    (1990/11/30)

  • 初診より8年2ヶ月。右上1番が自然脱落したが、歯根を切断後、隣在歯に接着する方法を選択。
    (1998/1/23)

  • 歯根部を切断して、天然歯ポンティックとして接着・保存した。
    (1998/9/27)

  • 裏側から見た接着状況
    (1998/9/27)

  • 初診より18年6ヶ月後のX線写真
    (2008/5/19)

治療方針

右上1番と2番は重度の歯周炎で動揺が強い。その原因は右上3番の舌側傾斜のため右側犬歯誘導が長期にわたって失われていたためと診断、説明し、犬歯頬側移動への理解を得る。その後、できる限り非抜歯で治療にあたる旨を伝えた。

症例のポイント

・ポンティックとしての天然歯の脱落は認めたものの、再接着、メタルメッシュの加強固定などを試みることによって健全な天然歯質を全く削去せず現在に至る。
・このことは患者さんにとっては自然観を損なうことなく審美的にも機能的(咀嚼・発音)にも全く違和感を訴えることなく、極めて有意義な手法と思われる。

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